はじめての長唄

はじめて長唄を聴くという方におすすめのCD

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「7代目芳村伊十郎長唄全集」1~30 (コロムビアミュージックエンタテインメント)

 

当ホームページでも紹介しております、不世出の名人・7世芳村伊十郎による長唄のスタンダードともいえる録音(通称「伊十郎全集」)です。共演している三味線方も時代を彩った名人ばかりです。この中からさらに絞り込むのは難しいのですが、三味線方ごとに決定盤をおすすめしたいと思います。三味線方の音色や表現を聴き比べてみるのも一興です。

 

【4】「二人椀久/高砂丹前」
今藤長十郎との「二人椀久」は、実在の人物椀屋久右衛門の事件が題材となった幻想的な舞踊音楽ですが、伊十郎の人物造形はもちろんのこと、踊り地で弾かれる研ぎ澄まされたような三味線のタマ(即興演奏)が鳥肌ものです。

 

 

【16】「菖蒲浴衣/四季の山姥/綱館」
山田抄太郎との「綱館」は、羅生門で腕を取られた茨木童子と渡辺綱の物語です。段物に相応しい重厚な唄と、歯切れのよい冴えた三味線が織り成す緊迫感溢れる真剣勝負。伊十郎全集の白眉とも称される名演です。

 

【20】「新曲浦島/多摩川/賤の苧環」
私の大好きな三味線方・杵屋栄次郎の「多摩川」では、冒頭の大薩摩で唄と三味線の丁々発止=長唄の醍醐味を存分に味わうことができます。多摩川沿岸の情景が絵巻物のように変化してゆきます。カップリングの「新曲浦島」も必聴。

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「今藤長之・芳村伊十七長唄名曲選」1~5 (コロムビアミュージックエンタテインメント)

 

師匠・芳村伊十七による長唄の名曲選です。長之・伊十七コンビの若き日の録音で、どれを聴いてももぎたての果実のようなフレッシュで新しい響きがお楽しみいただけると思います。自分にとってはこれからもお手本となっていく大切な録音です。中からおすすめを1枚。

 

【4】「勧進帳/京鹿子娘道成寺」

かの池波正太郎が自身のエッセイの中でも絶賛しているのがこの「勧進帳」。歌舞伎の「勧進帳」とは対極にある、言ってみれば純鑑賞用「勧進帳」といった趣きで、池波正太郎が晩酌しながら聴いていたというのもうなずける清新かつ洗練された演奏。

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「三味線~芳村伊十七の世界」 (コロムビアミュージックエンタテイント)

 

「長唄三味線」という楽器にスポットをあてて企画された録音です。唄は入っておらず、邦楽では珍しいインストゥルメンタルCDとなっています。

 

「歌舞伎~だんまり~」「大薩摩」「祭」「廓」「虫」「勧進帳」では長唄の有名な合方をテーマに器楽曲に編集、「元禄花見踊」「越後獅子」「京鹿子娘道成寺」はオーケストラとの和洋合奏版が収録されています。師匠の自作自演による独奏曲「浮世絵北斎の旅」「浮世絵美人」は、1つの楽器でこれだけ多彩な音色が出るものかとただただ唖然としてしまいます。

 

はじめて長唄を劇場・ラジオで聴く

演奏会

あまり知られていないのですが、長唄の演奏会は年間を通じて多く催されています。
長唄協会主催の演奏会は年に数回、行われています。

長唄協会(演奏会情報)

各流派でも勉強会などの演奏会は盛んです。各演奏家のホームページをたずねてみると、舞台の出演予定がわかります。もちろん、私の出演する演奏会は、当ホームページで随時お知らせしておりますので、どうぞお運びください。

長唄協会(演奏会情報)

そのほか、国立劇場や紀尾井ホールの主催公演は、様々な企画で邦楽を楽しむことができます。

国立劇場

紀尾井ホール

 

舞踊会

長唄は日本舞踊には欠かせないものです。お出かけになる舞踊会のプログラムに長唄の演目が並んでいれば、舞踊の地方(じかた)としての長唄を鑑賞することができます。

日本舞踊協会(舞踊会情報)

 

歌舞伎公演

毎月催されている東西の歌舞伎公演にも長唄は欠かせません。番組の演目下に「長唄囃子連中」と書かれているものは、出囃子(でばやし)といって長唄が舞台上で演奏いたします。

歌舞伎公式ウェブサイト 歌舞伎美人

 

NHK-FM

毎週火曜日の午前11時~11時30分「邦楽のひととき」では、長唄が放送されます。また、毎週土曜日の午前11時~11時45分「邦楽百番」では、不定期で長唄が特集されています。

NHK古典芸能を楽しもう