5月5日(日・祝) 第2回 直三の会(あうるすぽっと・東京)

2019/05/05

令和元年5月5日(日・祝) 午後5時開演

於・あうるすぽっと

入場料=3,000円(全席自由)

お問い合わせ 藤弥会 03-3941-0872

 

■番組■

常磐津「千代の友鶴」(藤間直三)

新作長唄「切るなの根」(花柳寿々彦・花柳基はるな)

清元「喜撰」(藤間直三・中村梅)

 

★平成28年5月に東音創作会にて初演されました「切るなの根」に振りが付き、舞踊初演されることとなりました。黄表紙をもとに、詞を書かせていただいた思い入れの強い作品です。

【「切るなの根」について】

この作品のモデルとなった原作『莫切自根金生木(きるなのねからかねのなるき)』(天明五年刊、蔦屋重三郎版、三巻三冊)は黄表紙初期の代表的な作品である。タイトルが回文であることにお気づきだろうか?ここから黄表紙的な諧謔はすでに始まっているのだが、中身はナンセンスにつぐナンセンス。現代に生きる我々が読んでも馬鹿馬鹿しくて笑ってしまうような普遍的なテーマが流れている。
今回の創作発表にあたっては、曲のタイトルを「切るなの根」とした。当然、黄表紙として完成された原作に及ぶべきもないという謙遜の意味を込めているわけだが、長唄としてどこまで原作に肉薄できるかという作業はとても楽しいものであった。もともとの黄表紙は絵をベースにその隙間には所狭しと文字が詰め込まれている。今でいう漫画のようなものであるが、その世界を言葉のみで表現するわけであるから、なかなかに難しい。
原作を知らない何人かの方に詞を読んでもらった際、皆口々に「こんなに景気のいい話があるかねぇ~」「あやかりたいねぇ~」といった言葉が微笑とともに返ってきた。とすれば、黄表紙が備えている「風刺をも超越した他愛ない茶化しの笑い」の要素がこの詞にも流れているということになる。作詞者としてはそれで満足なのであるが、気心の知れた山口聡君がどのようにこの黄表紙的世界を音で彩ってくれるか、楽しみである。私も本職が三味線方であるので、詞を書きながら「ここはこんな手がつくと効果的だろうな」など思いを廻らせながらペンを進め、作曲者についつい注文を出してしまう悪い癖がある。そんな自分が思いつかないような楽しい試み・工夫に期待している。(初演時プログラムより)