5月21日(土) 第25回 東音創作会(紀尾井小ホール・東京)

2016/05/20
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平成28年5月21日(木) 午後1時開演

於・紀尾井小ホール
入場料(全席自由)=2,500円

お問い合わせ 東音蓑田司郎 03-3815-9328

 

■番組■

1 海風の唄(かずはじめ・作詞 東音宮田由多加・作曲)

2 五人の邦楽奏者の為のNo-5(東音守啓伊子・作曲)

3 禅師曽我(田中もと・作詞 東音若和田史弥・作曲)

4 紀尾井(佐々木理香・作詞 東音赤星喜康・作曲)

5 散華幻想―のちの静―(かずはじめ・作詞 東音越智義乃・作曲)

6 切るなの根(今井久之・作詞 東音山口聡・作曲)

7 桜獅子(東音南谷舞・作詞作曲)

8 狐火(かずはじめ・作詞 東音高橋智久・作曲)

 

★長唄東音会同人による創作発表会です。今回も山口聡さんに詞を提供させていただきました。昔取った杵柄というわけではないですが、ずっと書きたいと思っておりました黄表紙を詞にしてみました。楽しい作品に仕上がっておりますので、お運びの上、ご意見ご感想をお聞かせくださいませ。

 

【「切るなの根」について】

この作品のモデルとなった原作『莫切自根金生木(きるなのねからかねのなるき)』(天明五年刊、蔦屋重三郎版、三巻三冊)は黄表紙初期の代表的な作品である。タイトルが回文であることにお気づきだろうか?ここから黄表紙的な諧謔はすでに始まっているのだが、中身はナンセンスにつぐナンセンス。現代に生きる我々が読んでも馬鹿馬鹿しくて笑ってしまうような普遍的なテーマが流れている。
今回の創作発表にあたっては、曲のタイトルを「切るなの根」とした。当然、黄表紙として完成された原作に及ぶべきもないという謙遜の意味を込めているわけだが、長唄としてどこまで原作に肉薄できるかという作業はとても楽しいものであった。もともとの黄表紙は絵をベースにその隙間には所狭しと文字が詰め込まれている。今でいう漫画のようなものであるが、その世界を言葉のみで表現するわけであるから、なかなかに難しい。
原作を知らない何人かの方に詞を読んでもらった際、皆口々に「こんなに景気のいい話があるかねぇ~」「あやかりたいねぇ~」といった言葉が微笑とともに返ってきた。とすれば、黄表紙が備えている「風刺をも超越した他愛ない茶化しの笑い」の要素がこの詞にも流れているということになる。作詞者としてはそれで満足なのであるが、気心の知れた山口聡君がどのようにこの黄表紙的世界を音で彩ってくれるか、楽しみである。私も本職が三味線方であるので、詞を書きながら「ここはこんな手がつくと効果的だろうな」など思いを廻らせながらペンを進め、作曲者についつい注文を出してしまう悪い癖がある。そんな自分が思いつかないような楽しい試み・工夫に期待している。