今を遡ること25年、中学2年生だった私がウィーン・フィルという魔法に魅せられ、最初に実演に接したのが「ウィーン弦楽四重奏団」であった。彼らの演奏したドヴォルザークの「アメリカ」は今でも耳から離れない。
学生時代は遠き楽都の憧れ、三味線を志してからも音楽家としての目標として揺るぎない存在であったウェルナー・ヒンク率いるウィーン弦楽四重奏団も結成50周年を迎えた今回の来日公演がラストツアーとなる。
先日、紀尾井ホールに赴き、日本での最後の演奏に接してきた。モーツァルトとシューベルトのプログラムであったが、言いようのない音色の柔らかさは健在、ウィーンの歌い回しに存分に酔いしれた。コンサート冒頭から涙が止まらなかった。自分が今まで音楽を続けて来られたのもこのカルテットがあったからというのは決して誇張ではない。来日公演にはほぼ欠かさず足を運び、室内楽の喜びを教えてくれたカルテットであった。心から御礼を申し上げたいと思う。そして、長い間お疲れ様でした!
終演後のサイン会で、忍ばせておいた三味線の胴板にメンバー4人からそれぞれサインを頂いた。一生の宝物にしたい。
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